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減塩?ホント?ウソ?

証拠のない減塩のメリット  橋本壽夫先生

 

血液中のナトリウム濃度は腎臓によって何時も一定に維持されている。

これをナトリウム・ホメオスタシス(恒常性)と称する。

 

この働きによりナトリウム(塩)摂取量が変化しても血液中のナトリウム濃度は変わらず、塩欲求を起すことはない。 しかしラットでは、妊娠すると塩欲求が起こり、塩を探すようになる。

 

授乳中のラットには4日間塩を与えないと、著しく塩摂取量を増加させた。妊娠中の胎児の成長や授乳中の新生児の代謝で要求される増加に対応した現象である。

 

約50年前に妊娠初期の婦人に及ぼす高塩食と低塩食の影響を調べた。

 

高塩食では、妊娠中の浮腫、妊娠中毒症、出血事故、周産期死亡(妊娠22週以後の死産から出生後満7日未満までの死亡)などの低下を示した。

 

低塩食では妊婦の血圧を増加させることも観察された。

したがって、妊娠中の塩摂取量低下には注意すべきで、特に妊娠に伴って悪化する高血圧の危険性には気を付ける。妊婦では減塩がメリットになる証拠はない。

 

 

生殖における減塩の影響

 

交尾行動やほ乳動物の生理状態に電解質バランスは影響を及ぼす。

 

牛の受精率変動の50%以上は塩摂取量を含めた栄養因子で説明される。

ナトリウム欠乏に付随した過剰のカリウム摂取量は異常な発情周期、子宮内膜炎、小胞状嚢腫などによって受精率を低下させる。

 

豚ではナトリウム摂取量の低下は胎児の体重を低下させ、1生殖周期以上も続くと出産数が減る。

離乳から発情までの平均的な期間が2倍になり、多くの豚が上手く交尾できない。

 

動物では自然な塩摂取量と必要に応じた塩摂取量の両方が生理的、遺伝的因子によって決められる。それらの因子は特別な塩嗜好を生じさせる。多くの種で低塩食と体内ナトリウム蓄積の欠乏は塩嗜好を刺激する。

 

塩摂取量が少ないとナトリウムを要求する風味に対する抹消と中枢味覚神経の応答が鈍くなる。

その結果、ラットは通常避けるような塩辛い餌を大量に食べる。

また発育初期のナトリウム欠乏は成長してからの塩欲求を引き起こす。

 

低塩摂取量は性交不能を含めて無気力や疲労によって特徴付けられる慢性疲労症候群の原因とみなされている。具体的には集中力、注意力、記憶力などの障害や性欲減退、起立性低血圧が生じる。

 

結論として、減塩は出産、妊娠、授乳に大きな影響を及ぼす。

 

食事による神経生理学的機構の変化は古代ギリシャ人によって既に推定されていた。

生殖に関与しているいくつかのホルモンは塩欲求を引き起こすらしい。

性的機能の変化は、高血圧管理の厳しい減塩と関係した潜在的な問題として知られている。

塩摂取量が極端に少ない狩猟採取生活者の出生率は低く、寿命は短い。

 

最適塩摂取量を考えるとき、古代ギリシャ神話の塩に起因する出産や性欲の喚起力に及ぼす塩辛い海の泡の強力な影響について忘れてはならないし、生殖能力や性交に対してはナトリウムが十分にある状態が大きく寄与していることを忘れないように、と結んでいる。

 

 

体を温めると病気は必ず治る  石原結實 医学博士

 

塩分制限の悪影響

 

ひと昔前までは、東北地方の人に高血圧や脳卒中が多かった。

それは塩分のとり過ぎが原因だということにされ、日本全国に減塩運動が起きて今日に至っている。

 

食塩(Nacl塩化ナトリウム)は塩素とナトリウムからできていて、食塩をとり過ぎると当然、血液中にナトリウムが多くなる。ナトリウムには吸湿性があり、血液中にたくさんの水分を引き人れるから血液量が多くなる。心臓は水分のために多くなった血液を力を人れて送り出さなければならない。よって血圧が上昇するのである。

 

しかし、東北の人々は、わざわざ高血圧や脳出血を起こしたくて塩分を多量にとっていたわけではない。今のように暖房が十分でない厳寒の冬を乗り切るために、塩分をたくさんとる必要があったわけだ。つまり、塩分には体を温める作用があるのである。

 

もし、東北の人々が当時、塩分を多量にとっていなかつたら、脳出血で倒れる何年も何十年も前に、肺炎、結核、リウマチ、下痢、自殺などの冷えの病気で早死にしていたにちがいない。

 

高血圧や脳卒中があれだけ、多かった当時でも、東北地方の人々の平均寿命は全国平均と比べても2~3年しか短くなかった。この2-3年分も、塩分だけが原因ではなく、冬場の運動不足や野菜の摂取不足も大いに関係していたのであろう。

 

この考えを百歩譲って、塩分制限のおかげで脳出血が減つたのだとしても、今度は逆に脳梗塞(血栓)が増えてきたという事実をどう説明したらいいのだろうか。脳梗塞は自然医学的にいえば「硬くなる病気」であり、「冷えの病気」である。

 

つまり、塩分不足の病気ともいえる。

 

塩分をこれだけ制限しても、高血圧の患者数は増えているのである。

つまり、塩分不足によって体温が低下し、ガン、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、脂肪肝、リウマチなどの膠原病、アレルギー、自殺などの-要因になつているのに、肝心の高血圧が減っていないというのは単なるブラックユーモアでしかない。

 

海の中でケガをしても膿むことは少ないし、傷の治りが早いことば経験的に知られている。

海水には皮膚の免疫カを上げることも、また、殺菌作用もあることもわかっている。その体表には薬になる海水(塩)が、体内に入ると一転して悪者になるということはおかしい。

 

そうならば、同じ哺乳動物のイルカやクジラは海水を飲んで生活しているのだから、皆、高血圧や脳卒中で死に絶えるはずである。

 

こう考えると、万一塩分が体に悪いとしても、化学的合成塩の食塩が問題なのであって、体内に必要な鉄、亜鉛、マグネシウムなど、約百種類のミネラルを含む自然塩は、健康にいいことはあっても悪いことば絶対にない、といつていいだろう。

 

それでも塩分が恐いという人は、発汗や排尿で水分とともにナトリウムを排出すればいいのである。

 

 

①塩は腸内の微生物や酵素と協同作業で食べ物を消化吸収させる役割を持っている

 

たとえばタンパク質をアミノ酸に分解するのは酵素の働きですが、吸収されるときにはソーダの形、すなわちナトリウムと結合していないと腸から吸収されにくいからです。
この現象を、「可溶化」と称しています。


可溶化とは、一般的には、水に溶けて生物体に吸収される状態を表現する言葉です。グルタミン酸ソーダは、その代表例ですが、肉を食ベるときにとくに塩がないとまずいと感じるのは、多量のタンパク質を可溶化するためにはかなりの量のナトリウムが必要だからです。ナトリウムは、塩の陽イオンの代表格ですが、これに対し塩素は陰イオンの代表格です。


微量なミネラルが可溶化するためには、塩化物か硫化物になる必要があります。
塩化カルシウム、塩化マグネシウムはもとより、海水中に含まれるミネラルは、すべて塩化物が中心で、そのほかには硫化物しか含まれていません。


塩が不足すると食べ物がまずく感じるのは、この塩の量では食べ物を十分に可溶化し、体に吸収させることばできませんよ、という一種の警告反応でもあります。


したがって、減塩につとめている人々の大半が、エネルギー不足という状態で、けだるく、パワー不足で、カゼをひきやすい体質になつています。カゼをひきやすいということば、免疫力の低下を意味します。塩は、また、状況によって適度なフリーラジカルを発します。


このレベルは体内の有害微生物の殺菌やアンモニアなどの還元物質の中和にも効果があります。
胃酸のレベルをはじめ、体の恒常性を維持し、免疫力を強化するため、感染症に対しても予想外の力を発揮します。

 

 

②体内で使用されたエネルギーの燃えかすや死滅した細胞などの老廃物を可溶化して尿や汗として対外へ排出する機能

 

塩が足りないと、食事はまずく、消化吸収力が低下するだけでなく、老廃物がスムーズに排出されないので、慢性病の原因となってしまいます。

 

したがって、塩には還元力によって酸化物を中和する力と、適度にフリーラジカルを発し、消毒する力があると同時に、栄養の吸収や老廃物の排除に不可欠な機能が備わっているのです。

 

それならば、微量ミネラル無視の99%のNaclの塩でもいいのではないかということになりますが、

微量ミネラルの論議はまた別のものです。

 

確かに海水に含まれる微量ミネラルは、塩化物や硫化物の形となって、すぐに生体に吸収されるため、ミネラル補給源として重要です。

 

しかし、99%のNacl塩を用い、食べ物をよくかんで、食物中の微量ミネラルが可溶化するような食ベ方をすれば、とくに塩の中にミネラルが多くなくてもよいということになります。

しかしフアストフードの時代になって、人々は次第に食べ物をかまなくなっています。

 

アゴの骨の発達と顔の形は高い相関関係があり、日本人はアゴの退化が目立っています。

したがって「よくかめよ、食べ物は」という通念が消えつつあります。

 

このような時代になると、酵素やDNA活性に関与する微量ミネラルを効率よく習慣的に取るしくみを考えなおさねばなりません。

 

したがって結果論的にいえぱ、海水中のミネラルをより多く含む現在の自然塩ブームは当を得たものといえます。