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ミネラルウオーターと水道水・安全な水は?

 

ミネラルウオーターを飲んでいる人たちにとっては、もはや水道水は「まずい」ということではなく、「飲めない水」のなっているようです。彼らにとって、水道水は「まずい」というトラウマからきているだけでなく、水道水そのものを飲む習慣がなくなったと言えるかもしれません。

 

まさに、てっとり早く「安全」と「味」の両方を同時に買ってしまおうということでしょうが、飲み水はおろか、炊飯、調理、洗顔までも市販のボトル水でまかなう人までがいるようです。

 

横浜市の調査(平成23年度)によると、「水道水」以外の水(ミネラルウオーター等)を飲んでいる人の割合は約22%で、3年前の調査より4%ほど増加しています。また、「水道水」をおいしいと感じている人は約55%で、おいしくないと感じている人の約17%を大きく上回っています。

 

同様に「水道水の安全性」についても、約70%の人が安心と感じているのに対して、不安を感じている人は約20%という結果になっています。他都市などの調査において、都市間にばらつきはあっても、相対的に同様の結果が出ています。

 

この結果を見ると、多くの日本人は「水道水」対して正しい認識をもっており、その期待の度合いも、まだまだ高いことが感じ取れますが、約20%の人たちが、水道水に不安を感じていることも覗えます。

 

ミネラルウオーターと水道水ではどちらが安全な飲料水なのでしょうか?

 

その答えは「ミネラルウオーター」と「水道水」の違いを正しく認識することで判断できます。

 

まず、水道水ですが、実は、日本の水道水は世界でもトップレベルの安全な飲料水であり、生活用水なのですが、その理由を知らず、約20%の人たちが、危険だと思い込まされているようです。

 

これだけでは、信用しない人がいるかもしれませんので、水道水が安全であるという法的な根拠(理由)をお示し致しましょう。

 

日本の水道水は、「水道法」で水質基準が定められています。

水道水は、水道法第4条の規定に基づき、「水質基準に関する省令」で規定する水質基準に適合することが必要です。

 

水道法で定められている水質基準は、

 

「水道水質の安全を確保するため、生涯にわたって連続的に摂取しても人の健康に影響が生じない量をもとに、安全性を十分考慮して基準値が設定されています。」とした理念に基づいて定められています。

 

つまり、人々が、生活するうえで必要な飲料水を毎日飲み続けても、一生涯、健康を損ねることのない、安全な水道水を供給するための厳しい基準なのです。

 

さらに、水道事業体(水道局)では、水道水の安全性を確認するために、定期的に原水(取水する河川や井戸水等)や浄水(浄水場で浄水された水)だけではなく、家庭の給水栓(じゃ口)からも水道水を採水し、水道法で義務付けられている水質基準項目(50項目)のほか、水質管理目標設定項目(27項目、農薬類の検物質を含めて128物質)、その他、水質管理等に必要な項目として30~40項目以上の水質検査(水道事業体によって異なる)を行っています。

 

実にその検査項目数は200項目以上にも上ります。

 

また、検査頻度も毎日検査から1が月、3か月、6か月、1年毎といったように、検査項目によって定期的に検査が行われ公表されています。

 

検査項目の詳細は厚生労働省の下記のホームページ(水道水質基準について)をご覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html

 

では、ミネラルウオーター類などの市販や宅配の飲料水等はどうかといいますと、「食品衛生法」で規制されています。

 

食品衛生法で定められている水質基準項目は18項目で、使用する原水(採取した水)がその基準値をクリアしていれば、販売、流通の許可を得ることができます。また、その基準値も水道法に比べると数倍ゆるいものですし、検査頻度も年1回程度となっています。

 

たとえば、検査項目で「カドミウム」の含有量は食品衛生法では、0.01ミリグラム/リットル以下に対して、水道法では「じゃ口から出る水」に対して、0.003ミリグラム/リットル以下、同じく「鉛」やトリハロメタンより発がん性が高いといわれる「ヒ素」の場合は、食品衛生法では、0.05ミリグラム/リットル以下に対して、水道法では0.01ミリグラム/リットル以下となっています。

 

なぜ、ミネラルウオーター類の水質基準がこんなに緩いかというと、「ヒ素」などは、日本の天然水(天然由来の多くの水源)に自然に含まれているため、緩くせざるを得ないのです。

 

よく水道水が危険である理由の一つとして、水道管に使用されている「鉛」が含まれることがいわれていますが、基準値からいえば、ミネラルウオーター類の方が多く含まれる危険があります。

 

また、水道水で発がん性の危険性を取り上げられるのが「トリハロメタン」ですが、水道法の基準で0.1ミリグラム/リットル以下と定められとおり、じゃ口から採水した水道水を検査しています。トリハロメタンそのものは揮発性が高いため、煮沸でも除去できます。

 

しかし、現在の浄水場の浄水処理で、トリハロメタンが含まれないよう、浄水過程でフミン質などの有機物質を可能な限り除去し、殺菌のための塩素の濃度を抑える努力をしているせいか、トリハロメタンの濃度は極めて低いレベルに抑えられています。

 

水質検査結果を見られるとお分かりいただけると思います。

 

お宅の水道水にどのくらいトリハロメタンが含まれているか知りたい方は、管轄の水道局等のホームページをご覧ください。「水質検査結果」で検索すると早いでしょう。(電話で問い合わせても教えてくれます。)

 

水質検査結果の26番目(水道法基準)の「総トリハロメタン」の数値が含有量になります。(気になる方は調べてみてください。)水道法での基準値は0.1mg/L以下となっています。

 

多くの水道水ではその検査結果の数値が<0.01mg/Lとなっていると思います。

「<」が付いているのは検査計器では計測不可能な値(レベル)ということですので、一般的に含まれていないと解釈すべきです。

 

水道水に含まれる「トリハロメタン」の危険性について

 

塩素(消毒)の有害性を指摘されることもありますが、水道法の水質基準で、その安全性は確保されていると考えるべきですし、塩素による消毒は水道水の安全性の確保の指標(感染症を防ぐ)ともなり、必要不可欠なものです。

 

この塩素によって、水道水の持つ本来のおいしさが損なわれていることも事実ですが、各水道事業体は浄水処理施設の近代化等により、おいしい水づくりに積極的に取り組んでいるようです。

 

ある学者の説によると、化学物質による発ガンリスク分配率としては、水道水2%、大気6%、その他2%、飲用水を含む食品が90%としています。

 

また、すべてのガンによる死亡の原因の30%ぐらいが喫煙、35%ぐらいが食品(ミネラルウオーター類を含む)、それに対して環境汚染による原因は水道水や大気汚染などを含んでも2%程度としています。

 

水道水が安全であるといっても、その「安全性の担保はどこにあるのか?」といった疑問がでてきます。

 

水道法は1890年(明治23年)に、水道条例が公布されたことに始まりますが、当時、流行していたコレラ、赤痢、腸チフスなどの感染拡大を防ぎ、国民の健康を守るために定められました。

 

その時、国民の安全を確保(担保)するために定めたのが、

  • 水道事業は市町村が行う。(公営企業の原点)
  • 給水を受ける者は、水道水質の検査を市町村長に請求できる。(情報公開)
  • 市町村は共用栓、消火栓を設置する。(国民生活の安全確保と水道水の公共性)

等になりますが、水道事業は自治体などの公共団体のみが行えることで、営利目的ではなく、国民の生活に必要な水道水(飲料水)を安全に安価で確保できるようになったのです。

 

※水道条例(明治23年公布)は日本で初の水道に関する法律で、今日の水道法が制定される昭和32年まで存続し、受け継がれている。

 

「水道水の安全の担保」は水道法であり、その水道法に基づき、需要者に対しては、すべて(水質検査結果等)公表することによって、水道水の安全性を確認することができます。

 

水道法と食品衛生法とではどうしてこんなに水質基準が違うのか?

 

理由は食品衛生法の目的にあります。

 

ミネラルウオーター類は食料品としての扱いで、他のコーヒーやお茶、ジュース類と同じく嗜好品としての取扱なのです。嗜好品とは健康や栄養のためでなく、味わうことを目的にとる飲食物のことです。

 

つまり、ミネラルウオーター類は「毎日、飲み続けても人の健康に影響が生じない」という前提の水道水とは違い、「味わうもの」として流通、販売を認められているものです。

 

「水道水」は生きていくために必要不可欠なもので、安く、安全でなければならないものですが、「ミネラルウオーター類」は、毎日、飲まなくてもよいものとして、「飲んでも(すぐに)健康には影響を及ぼさない」といった水質基準であると解釈すると分かりやすいです。

 

ちなみに、水道水はその都市の独占企業(公営企業)ですから、需給者(消費者)が水道水を選択することはできません。そのために、水道法で厳しく水質基準を定め、飲料後も健康に影響のないように安全性が考慮され、法律が制定されているのです。

 

しかし、ミネラルウオーターは選ぶことができます。

 

選ぶときに欠かせない安全の根拠である「水質検査結果」をミネラルウオーター類の商品で見たことがありますか。

 

水販売メーカーのホームページを見ても「安全」や「おいしさ」「健康」をうたっていますが、安全の根拠である「水質検査結果」を見たことがありません。

 

たとえば、あなだが飲んでいるミネラルウオーターに、どれだけの発がん性物質の「ヒ素」(食品衛生法の水質基準以下でしょうが、水道水の5倍かもしれません)が含まれているのか、ご存じで(選んで)飲まれていますか?

 

また、宅配水(ウオーターサーバー)の契約をされる際に、水の水質検査結果の提示を求めることをお勧めします。自身の飲まれる水の安全性をご自身で確認し、納得するためです。

できれば、水道水の水質検査結果と比較してみてください。

 

もしも、宅配水のメーカー(販売業者)が、水質検査結果(食品衛生法の18項目)の提示を拒んだ場合(提示しなくても違法ではないですが)、そのメーカーはあまり安全(水ではなく会社が)ではない、信用できないと判断したほうが賢明です。

 

消費者がミネラルウオーター類を選択し購入する行為や、購入した後の衛生管理は消費者の自己責任になりますから、開封後は販売者の責任は問われません。

 

特に、ウオーターサーバー等の機器から出される水は、食品衛生法の水質基準の対象となりませんから、機器内で雑菌が繁殖しないための衛生上の処置、管理(塩素消毒をしていないので雑菌が繁殖しやすい)は消費者の責任で行わなければなりません。

 

ミネラルウオーターの危険性でいえば、国内で売られているミネラルウオーターの一部で、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド(いずれも発ガン性有り)が水道水の80倍の濃度で検出されたり(毎日新聞2003年4月20日の記事)、一部のミネラルウオーターから乳幼児の生育に影響を与える硝酸性窒素が検出されたり、異物混入が認められたなどといった事件もありました。

 

健康になることをうたっているミネラルウオーターなども見かけますが、「トクホ(特定保健用食品)」の認可を受けていなければ、健康になるという「表示」「広告」等はできません。(違法性すれすれの広告が多くみられます。)

 

現在までのところ、「トクホ」のミネラルウオーター類はないようです。

一部のミネラルウオーターと称する「トクホ商品」もありますが、オリゴ糖などを含んだ機能水で、販売メーカーも「ミネラルウオーター感覚飲料」と補足説明しています。

 

 

ミネラルウオーター類を毎日500ミリリットル飲んでいる方であれば、1本100円として30日で3000円の出費になります。

 

水道水は一日一人250~300リットルを使用するのが平均的ですので、30日で多くても9000リットル程度になります。

 

水道料金は1000リットルで、一般的に単価が100円から200円(大都市の平均単価130円)程度ですので、一か月900円から1800円程度(平均1170円)になります。

 

水道料金は高いように感じますが、大都市の平均単価130円/1000リットルで換算すると、1リットル0.13円になります。500ミリリットルのペットボトルですと1本0.065円ですから、100円で1,538本分にもなります。

 

トイレ1回分で5リットル(最新式)から9リットル(全国平均)位ですので、ペットボトル水1本で約100回程度(約1か月分)のトイレ分の水道料金が節約できることになります。

 

お風呂は1回200リットルから300リットルですから、26円から39円、シャワーですと、1回平均80リットル程度ですから10円程度になります。

 

安全な飲料水が自宅にいて、簡単に(じゃ口から)手に入るのに、わざわざ、高価なミネラルウオーターを購入する必要があるのでしょうか?

 

「水道水」を節水(節約)しながら、「ミネラルウオーター」を毎日、飲んでいる方、節水(節約)していることがむなしくなりませんか?

 

実際に、現在の水道水は安全だけではなく、たいへんおいしくなっています。飲まれない方は分からないでしょうが、利き水などでためしてみると、水道水とミネラルウオーターの違いが判らない人が多くいます。